ポジャギについて

ポジャギアトリエけなりでは韓国の伝統芸術ポジャギの小物キットの販売を行っています。
ではそもそも「ポジャギ」とはどんなものなのでしょうか?
ここではみなさまにポジャギのことをもっと知っていただくためにポジャギの種類、用途、歴史などをお話します。

ポジャギって?

柿渋染めのチョガッポ (2019年作)
柿渋染めのチョガッポ (2019年作)
「ポジャギ」とは韓国語で物を包んだり覆ったりする風呂敷のような布のことを言います。 最も古いポジャギとされているのは高麗時代(10~13世紀)のものが残されていますが、最も盛んに作られたのは朝鮮時代(1392~1910)の頃とされています。 漢字で書くとポジャギは「袱」・「褓」ーポクと呼ばれており、褓子器の「褓」と「福」は同じ音であることからポジャギを作ることが「福を呼び・福を包む」と言われてきました。 また小さなハギレを無駄にせず、一針一針丁寧に心を込めてつなぎ合わせていくことは長寿を祈る意味もあると言われています。

物を包んだり、食器を覆たり、用途によって使い分けられるポジャギ

ポジャギは昔からいろいろな用途に使われてきました。
物を包んだり、食膳の食器類を覆ったりする時に使い、日常の生活用品として広く使われていました。

普段の生活の中で使用した褓を「常用褓」と言います。食事にかける床褓「サンボ」、服を包むための「オッポ」、寝具を包んでおく「イブルポ」、書籍を包む本褓「チェッポ」、お金を包む「トンポ」、靴下の型を入れて保管する「ポソンポ」などがあります。その他にも婚礼用として、仏教儀式用として使用したポジャギなどもあります。

ポジャギは使う階級によって宮廷などで使用された豪華で鮮やかな宮褓(クンポ)と、一般庶民が多目的な常用褓として使用した民褓(ミンポ)とに分けることが出来ます。また構造によって分類すると、裏地をつけない一枚仕立ての「ホッポ」、裏地をつけた二重仕立ての「キョッポ」に分類されます。

さらに制作方法によっては、木や花・植物・蝶々・鳥・草虫などの華やかな刺繍を施した繍褓「スポ」、お膳の食器の上にかけホコリや虫除けのために油紙で作られた食紙褓「シクジポ」、韓服を作って余ったハギレを再利用して一枚の布に制作した「チョガッポ」があります。

私達がよくポジャギとすれば一番先に浮び上がるのがこのチョガッポであります。チョガッポは日常生活で使って残ったハギレを活用するという生活の中の知恵なので主に一般庶民層で通用したようであります。

ポジャギの色彩感覚と芸術性

クレー「いにしえの響き」(1925)
クレー「いにしえの響き」(1925)
このようなポジャギの中では面と色の構成が非常にすぐれて多様の色相感覚を見せてくれます。その全体色合いには統一性があって美しさを加えています。

こういう高い美意識と創造力はよく新造形主義画家のピエト・モンドリアン(Piet Mondrian・オランダ・1872~1944)やパウル・クレー(Paul Klee・スイス・1879~1940)の抽象画に例えられます。特にモンドリアンの「グレーとライト・ブラウンのコンポジション」(1918)とクレーの「いにしえの響き」(1925)の作品は非常に類似の構成を見せてくれます。

このようなポジャギの珍しい造形・発想の独創性と文様・色彩・構成の美しい調和で
その芸術的価値は国内外でも大きく注目されています。